【弁護士が解説】損害賠償請求権は自己破産によって免責される?
自己破産は、原則としてすべての債務の支払い義務が免除になる手続きですが、一部、支払い義務を免れられないものもあります。
本記事では、損害賠償請求権は自己破産によって免責されるのかどうかを解説します。
損害賠償請求権とは
損害賠償請求権とは、他人から損害を与えられたときに賠償金を請求できる権利です。
損害が生じる原因には「債務不履行」「不法行為」の2種類があります。
債務不履行が原因の損害賠償請求
債務不履行とは、契約で取り決めた義務を果たさないことをいい、以下のように3つの類型があります。
- 返済期日までに決められた金額の借金を支払わないなどの「履行遅滞」
- 天災により売却予定の家具を壊してしまい引き渡しができなくなるなどの「履行不能」
- 契約した商品とは異なる商品が納品されるなどの「不完全履行」
不法行為が原因の損害賠償請求
不法行為とは、意図的に、または不注意によって他人の権利などを侵害して損害を生じさせる行為です。
たとえば、悪意を持って他人を騙して金銭を搾取したり、殴る蹴るなどの暴力をふるったりする行為がこれにあたります。
損害賠償金が免責されないケース
自己破産の手続きをすれば、原則として損害賠償などの支払い義務も免責されますが、先に解説した「不法行為が原因の損害賠償請求」は免責されるわけではありません。
詳しく確認していきたいと思います。
悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
自己破産をしても免責されないケースとして、悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権が挙げられます。
「悪意」とは、相手にとって害があることを理解したうえで積極的に行動する意思です。
たとえば、ものを盗んだり、誹謗中傷によって精神的に損害を与えたりする行為が該当します。
故意や過失により他人の生命や身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
自己破産をしても免責されないケースとして、故意や過失により他人の生命や身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権が挙げられます。
「故意」とは、自分の行為により一定の結果が生じると認識しながらあえてその行為をすることで、「過失」とは、結果が予見できたにもかかわらず注意を怠ってしまうことを指します。
まとめ
本記事では、損害賠償請求権は自己破産によって免責されるのかどうかを解説しました。
自己破産をすると、すべての支払いの義務が免責されるわけではありません。
損害賠償金を抱えていて自己破産を検討している場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
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河原 誠Makoto Kawahara
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- 所属団体
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- 大阪弁護士会 子どもの権利委員会
- 大阪弁護士会 法律援助事業・日本司法支援センター対応委員会 委員(少年担当)
- 大阪弁護士会 刑事弁護委員会 当番弁護士・委員会派遣事業審査担当
- 大阪弁護士会 刑事弁護委員会 刑事弁護援助金審査担当
- 大阪弁護士会 紛議調停委員会
- 大阪弁護士会 市民窓口担当員
- 社会福祉法人みおつくし福祉会 弘済のぞみ園、同みらい園 第三者委員
- 芦屋市 市長等倫理審査会(2012年4月~2022年3月)
- 大阪家庭裁判所 家事調停委員 (堺支部担当)
- 法務省法制局 大阪少年鑑別所視察委員会(2021年4月~2024年3月)
- 経歴
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- 1986年(昭和61年) 関西大学法学部卒業
- 1993年(平成5年) 司法試験合格
- 1994年(平成6年) 最高裁判所司法研修所
- 1996年(平成8年) 弁護士登録(修習48期)。木村法律事務所就職
- 2002年(平成14年) 事務所設立