浪費と免責(2)
本来、破産決定を得て、免責決定を得る(厳密には別の手続です)ためには、免責不許可事由にあたらないことが必要です。免責不許可事由の中には、「浪費、賭け事」(破産法252条1項4号)が規定してあります。但し、不許可事由があっても「裁判官が事情を考慮」して免責を認めることができるという例外が規定されています。
その例外としての免責(裁量免責/破産法252条2項)を得ることが出来た一例です。
ギャンブルなどで、約650万円の借金を抱えた依頼者の免責
依頼者は、勤める会社の業績の悪化で給料が遅れたり分割になったりしました。その影響で返済に間に合わない支払いなどを借金する事になりました。後で入ってきた給料を交際費やパチンコ等に使ってしまいました。
彼は、給料の遅配などで生活費を補うための借金生活の中で、少しでも競馬で当てて生活を楽にしたいという気持ちでギャンブルを続けていました。競馬の電話投票会員に当選したため、友人らの馬券も頼まれるようになり、通帳上はかなりの金額をJRAに支払っていました(通帳に記載され確実に裁判官が確認されるだけに、裁判官に与えるインパクトは強いです)。
そのような中、宝くじに当たり一気に150万円位を返済をするという成功体験をしたこともありました。また、親族等からの援助でほぼ完済でき、結婚もして一時はギャンブルをやめていた時期もありました。
その後、彼は、離婚等の精神的負担に加えC型肝炎であることが判明したりして、何をしていても悲しみと死の不安が頭から離れずパチンコで現実逃避をしてしまいました。
そのため、また借金が増えはじめ、入院・治療費で借金が増加し、退院後は仕事復帰しても今までの様には働けず収入が減りました。そのため、借金の返済を焦り、一度の成功体験にすがってギャンブルで何とかしようと思い、更に借金を増やしてしまいました。
私が受任した際には、その債務額は利息制限法に引き直しても650万円強にもなっていました。簡単に免責決定が貰える案件ではありません。しかし、裁判所に、ギャンブルの事情の上申書、依頼者の反省文を提出するなどして、裁判官を説得して、何とか免責決定を得ることが出来ました。(平成21年の案件)
破産法252条1項4号「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと」
破産法252条2項「裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。」
アーカイブ
- 2022年4月 (1)
- 2022年2月 (2)
- 2020年10月 (2)
- 2020年9月 (1)
- 2020年5月 (1)
- 2020年4月 (2)
- 2020年2月 (1)
- 2016年9月 (2)
- 2016年6月 (1)
- 2016年5月 (2)
- 2016年4月 (3)
- 2016年1月 (3)
- 2015年12月 (2)
- 2015年11月 (2)
- 2015年10月 (1)
- 2015年9月 (3)
- 2015年8月 (3)
- 2015年7月 (3)
- 2015年5月 (2)
- 2015年4月 (5)
- 2015年3月 (4)
- 2015年2月 (4)
- 2015年1月 (5)
- 2014年12月 (2)
- 2014年11月 (5)
- 2014年10月 (4)
- 2014年9月 (13)
- 2014年8月 (2)
- 2014年7月 (5)
- 2014年6月 (1)
- 2014年1月 (3)
- 2013年12月 (3)
- 2013年11月 (3)
- 2013年10月 (4)
- 2013年9月 (1)
- 2013年8月 (5)
- 2013年7月 (4)
- 2013年6月 (3)
- 2013年5月 (1)
- 2013年4月 (7)
- 2013年3月 (4)
- 2013年2月 (7)
- 2013年1月 (4)
- 2012年12月 (10)
- 2012年11月 (13)
- 2012年10月 (14)
- 2012年9月 (6)
- 2012年4月 (1)
カテゴリー
当事務所が提供する基礎知識
Basic Knowledge
-
個人間で不動産売買を...
親子や親戚で土地を売買したり、貸していた土地を借主に売却したりするのは珍しいことではありません。個人間での不動 […]
-
貸したお金を返しても...
お金を貸したが返ってこない、そのような場合は、まずは法的手続きによらない解決方法を利用しましょう。法的手続き […]
-
公正証書遺言の効果と...
■公正証書遺言の効果とは 遺言書には、以下の3種類が存在します。 ・自筆証書遺言・秘密証書遺言・公正 […]
-
自己破産のデメリット
自己破産は、債務弁済の義務を免責されるという他の債務整理手続きにはない、最大限のメリットがある一方で、デメリ […]
-
早めに弁護士に債権回...
債権回収と言っても個人間、企業間、個人と企業間とさまざまな事例が考えられます。 そして債権回収を早めに弁護士 […]
-
離婚の原因
■法律上必要な離婚するための原因とは? 離婚には協議離婚、裁判離婚など様々な方法がありますが、夫婦の一方による […]
よく検索されるキーワード
Search Keyword
資格者紹介
Staff
河原 誠Makoto Kawahara
私は、大阪市、芦屋市、西宮市、神戸市を中心に「クライアントの皆様と一緒に悩み考え、クライアントの皆様にじっくりとご説明し、結論に納得していただくためにオーダーメイドの事件処理をする」をモットーに幅広い法律問題に対応しています。
ご依頼者様の利益を第一に考え、早期解決のため尽力いたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
- 所属団体
-
- 大阪弁護士会 子どもの権利委員会
- 大阪弁護士会 法律援助事業・日本司法支援センター対応委員会 委員(少年担当)
- 大阪弁護士会 刑事弁護委員会 当番弁護士・委員会派遣事業審査担当
- 大阪弁護士会 刑事弁護委員会 刑事弁護援助金審査担当
- 大阪弁護士会 紛議調停委員会
- 大阪弁護士会 市民窓口担当員
- 社会福祉法人みおつくし福祉会 弘済のぞみ園、同みらい園 第三者委員
- 芦屋市 市長等倫理審査会(2012年4月~2022年3月)
- 大阪家庭裁判所 家事調停委員 (堺支部担当)
- 法務省法制局 大阪少年鑑別所視察委員会(2021年4月~2024年3月)
- 経歴
-
- 1986年(昭和61年) 関西大学法学部卒業
- 1993年(平成5年) 司法試験合格
- 1994年(平成6年) 最高裁判所司法研修所
- 1996年(平成8年) 弁護士登録(修習48期)。木村法律事務所就職
- 2002年(平成14年) 事務所設立