少年事件における「審判不開始」「不処分」
読売オンラインに不正確な記事が載っており、一般的には大した間違いではないと思われるかも知れませんが、被害者側にとっては大きな間違いですので、少しコメントしておきたいと思います。下記引用記事の「刑事裁判の無罪に相当する」という点です。
記事でも触れられているとおり、少年審判手続の中で、「審判不開始」「不処分」という決定(結論)があります。
両者とも、決定が出たあとは、国家が関わらない(保護司の関与もなければ、施設収容もない)という意味では同じです。両者の違いは、審判を開くまでもなく少年に国家が関わる必要がないと判断されたか、審判を開いた上で(事実関係の確認や少年の反省を確認した上で)国家が関わる必要がないと判断されたかの違いです。
但し、双方とも、非行事実がなかったことを認定したのかどうかは、決定からは判りません。その理由を確認する必要があります。
非行事実がないと認定された場合も、非行事実は認定されたものの少年らが反省しているから保護観察等国家の関与は不要であると判断された場合も、同様に「審判不開始」「不処分」との決定が下されるのです。
ですので、本件少年らが「無罪」(刑事裁判でいう)であったかどうかは、判らないというのが正解です。被害者にとっては、ここは大きな問題だと思うのです。
読売オンラインより引用
元同級生2人、審判不開始に...貝塚自殺問題
大阪府貝塚市で2011年10月、府立定時制高校1年・川岸朋之さん(当時18歳)が中学時代の元同級生らに金を要求されていたことを示唆するメモを残して自殺した問題で、大阪家裁堺支部(佐藤薫裁判官)は、窃盗の非行事実で送致された元同級生3人のうち、川岸さんにひったくりを指示したとされた無職少年(19)と専門学校生(19)を審判不開始(いずれも3月29日付)、この2人の指示で川岸さんとひったくりをしたとされた大工(19)を不処分(3月4日付)と決定した。同支部は理由を明らかにしていない。
審判不開始は、家裁が、非行事実が認められなかったり、事件が軽微で更生が期待できたりすると判断し、審判に付さないとする決定。不処分も同様だが、審判を開いたうえでの決定で、刑事裁判の無罪に相当する。
川岸さんの父親は読売新聞の取材に「息子をいじめていたとされる2人が審判不開始になったが、その理由がわからないままでは納得できない」と話した。
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- 所属団体
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- 大阪弁護士会 子どもの権利委員会
- 大阪弁護士会 法律援助事業・日本司法支援センター対応委員会 委員(少年担当)
- 大阪弁護士会 刑事弁護委員会 当番弁護士・委員会派遣事業審査担当
- 大阪弁護士会 刑事弁護委員会 刑事弁護援助金審査担当
- 大阪弁護士会 紛議調停委員会
- 大阪弁護士会 市民窓口担当員
- 社会福祉法人みおつくし福祉会 弘済のぞみ園、同みらい園 第三者委員
- 芦屋市 市長等倫理審査会(2012年4月~2022年3月)
- 大阪家庭裁判所 家事調停委員 (堺支部担当)
- 法務省法制局 大阪少年鑑別所視察委員会(2021年4月~2024年3月)
- 経歴
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- 1986年(昭和61年) 関西大学法学部卒業
- 1993年(平成5年) 司法試験合格
- 1994年(平成6年) 最高裁判所司法研修所
- 1996年(平成8年) 弁護士登録(修習48期)。木村法律事務所就職
- 2002年(平成14年) 事務所設立